東京大学(以下、東大)は三菱電機、味の素ファインテクノ(川崎市)、スペクトロニクス(大阪府吹田市)と共同で、半導体製造に必要なパッケージ基板への穴あけ加工において、穴径6μm以下の微細な穴を1秒間に数千個あけるレーザー加工技術を開発した()。現在の一般的な基板の穴径は40μmほど。

図 新たな加工技術であけた穴の電子顕微鏡画像
図 新たな加工技術であけた穴の電子顕微鏡画像
穴の内側で白く見えるのは底面の銅薄膜。穴の周囲の黒く見えるのが穴の内壁。(出所:東京大学)
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 今回開発した加工技術では、三菱電機のレーザー加工機の開発機を使った。スペクトロニクスが開発した深紫外短パルスレーザーを組み込んだもので、波長266nmでp(ピコ)秒台のパルス幅のレーザーを照射できる。従来はレーザーの波長が長いために40μm程度より微細な穴あけ加工は困難だった。加工プロセスは東大が開発を進めているシステムで最適化を図った。穴あけ加工に最適なレーザーの照射条件などを自動探索するという。

 これらの技術を組み合わせて、味の素ファインテクノが製造する絶縁フィルム「味の素ビルドアップフィルム」への穴あけ加工を実施。前述の加工能力を実現した。加工条件を高品質用に調整すれば、穴あけ加工の品質を示すテーパー度(フィルム上面と下面の穴径の比)は75%に達するという。

 新たな加工技術は、チップレット化やマルチスケールデバイス化など微細化・複雑化が進む次世代半導体製造に向けた実用化を目指す。