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次世代半導体製造向けの極微細穴あけ加工を実現

October, 25, 2022, 東京--東京大学、味の素ファインテクノ株式会社、三菱電機株式会社、スペクトロニクス株式会社(スペクトロニクス)は、次世代の半導体製造工程に必要な、パッケージ基板への6µm以下という極微細レーザー穴あけ加工技術を開発した。
 現在用いられている回路基板の穴径は約40µm。次世代半導体製造のためには、穴径が10µm以下であることが求められているが、実際の製造に堪える技術の形で実現が課題となっていた。

今回、東京大学が運用している「TACMIコンソーシアム」において、半導体製造に関する異なる強みを持つ法人が業種を超えて連携・開発したことにより、次世代の半導体製造工程に資する技術を開発した。この技術は半導体のさらなる微細化や複雑化するチップレット技術を支え、消費電力の削減やポスト5G、電気自動車(EV)対応などへつながることが期待される。

今回、4法人の連携で目指したのは、次世代半導体製造に資する10µm以下の穴径の微細穴を、製造のニーズを満たす品質で、製造ラインの生産能力も視野に入れて実現すること。銅薄膜上に厚さ5µmのABF(Ajinomoto Build-up Film )を配置して、これにレーザ微細穴あけ加工を実施した。レーザにはスペクトロニクスが開発・販売している波長266nmでピコ秒のパルス幅の深紫外レーザを用い、レーザ加工機には三菱電機が深紫外短パルスレーザを特別に組み込んだ、次世代プロセス用開発機を用いた。東京大学がSIP事業で開発する、加工プロセスを最適化するCPS型レーザ加工機システムの成果も取り入れた結果、6µm以下の極微細穴あけ加工を実現した。実現した微細穴は穴径が6µm以下であるとともに、加工能力については、1秒当たり数千穴を実現している。また、高品位加工用のパラメータを用いることで、6µmの直径において、上面の穴径と下面の穴径の比として定義されるテーパー度は品質基準値の75%に達することがわかりった。これらは、次世代の半導体製造におけるパッケージ基板に対する基本的な要求に応えたものとなっている。

開発成果の技術に関する詳細は、2022年10月26日から台湾・台北で開催される国際会議IMPACT2022で報告される。
(詳細は、https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/)