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東大など、次世代半導体製造に向けた6μm以下のレーザー穴あけ加工技術を開発

2022年10月25日15時41分 / 提供:マイナビニュース


東京大学(東大)、味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスの4者は10月24日、現在用いられている回路基板の穴径約40μmに対し、次世代の半導体製造工程に必要な、パッケージ基板への6μm以下という微細レーザー穴あけ加工技術を開発したことを発表した。

同成果は、東大 物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター/光量子科学連携研究機構の小林洋平教授が代表を務める、産学官連携で光ものづくり協創を推進するため東大によって設立された「高効率レーザープロセッシング推進(TACMI)コンソーシアム」において、味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスがそれぞれの得意とする技術を持ち寄ることで実現された。今回の成果の詳細は、2022年10月26日から台湾の台北市で開催されるプリント基板およびパッケージングに関する国際会議「IMPACT2022」で発表される予定だという。

現在、高度な半導体においては、パッケージ基板のビルドアップ材料として、層間絶縁材の味の素ビルドアップフィルム(ABF)がほぼ100%というシェアで使われているという。そのABFに対してレーザーを用いて多数の微細な穴あけ加工がなされ、銅めっきすることによって電気的な微細配線が施されている。

EUVリソグラフィ技術による半導体プロセスの微細化や、半導体構造のチップレット化など、半導体を取り巻く環境が大きく変化する現在、ABFの微細穴あけに要求される穴径も一層の微細化が求められることとなっているが、実際にはレーザー波長の関係から、40μmよりも微細な穴径を作ることは難しかったという。

そこで今回、内閣府戦略的創造イノベーションプログラム(SIP)においてレーザー加工プロセスのサイバーフィジカルシステム(CPS)化による知的生産技術研究を推進する東大、ABFを製造・販売する味の素ファインテクノ、レーザー加工機を開発する三菱電機、新たな深紫外短パルスレーザーを製造・販売するスペクトロニクスの4者が、TACMIコンソーシアムにそれぞれの強みとなる技術を持ち寄り、次世代の半導体製造工程に資する技術開発・評価に取り組むことにしたという。


今回の連携で目指されたのが、次世代半導体製造に資する穴径10μm以下の微細穴を、製造のニーズを満たす品質で、製造ラインの生産能力も視野に入れて実現することだという。

銅薄膜上に厚さ5μmのABFが配置され、これにレーザー微細穴あけ加工が実施された。レーザーにはスペクトロニクスが開発・販売している波長266nmでピコ秒のパルス幅の深紫外レーザーが用いられ、同レーザーを三菱電機がレーザー加工機に組み込み、次世代プロセス用開発機が作られた。

さらに、東大がSIP事業で開発する、加工プロセスを最適化するCPS型レーザー加工機システムの成果も取り入れた結果、これまでの1/6以下となる6μm以下の極微細穴あけ加工が実現された。加工能力については、1秒当たり数千穴としている。

また、高品位加工用パラメータを用いることで、6μmの直径において、上面の穴径と下面の穴径の比として定義されるテーパー度は品質基準値の75%に達することが確認されたとする。これらは、次世代の半導体製造におけるパッケージ基板に対する基本的な要求に応えたものになるという。

今回の技術は、微細化・複雑化が進む次世代半導体製造において、チップレット技術、マルチスケールデバイス化などを支える後工程に必要とされている技術であり、電気自動車の開発などでますます高度化の需要が高まる先端半導体製造での活用が期待されると研究チームでは説明している。

また、4者は今後も連携してレーザー加工のスマート化技術の開発と実証に取り組み、個別需要に合わせたカスタマイズを加速させることで、半導体製造ファブなどのユーザー企業への展開を進め、次世代の半導体産業における日本の競争力強化に貢献していくとしているほか、同コンソーシアムとしても、今後もさまざまなものづくりニーズに応えていくために、業種や分野を横断する産学協創活動を推進していくとしている。

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