東京大学(東大)、味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスの4者は10月24日、現在用いられている回路基板の穴径約40μmに対し、次世代の半導体製造工程に必要な、パッケージ基板への6μm以下という微細レーザー穴あけ加工技術を開発したことを発表した。

同成果は、東大 物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター/光量子科学連携研究機構の小林洋平教授が代表を務める、産学官連携で光ものづくり協創を推進するため東大によって設立された「高効率レーザープロセッシング推進(TACMI)コンソーシアム」において、味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスがそれぞれの得意とする技術を持ち寄ることで実現された。今回の成果の詳細は、2022年10月26日から台湾の台北市で開催されるプリント基板およびパッケージングに関する国際会議「IMPACT2022」で発表される予定だという。

現在、高度な半導体においては、パッケージ基板のビルドアップ材料として、層間絶縁材の味の素ビルドアップフィルム(ABF)がほぼ100%というシェアで使われているという。そのABFに対してレーザーを用いて多数の微細な穴あけ加工がなされ、銅めっきすることによって電気的な微細配線が施されている。

EUVリソグラフィ技術による半導体プロセスの微細化や、半導体構造のチップレット化など、半導体を取り巻く環境が大きく変化する現在、ABFの微細穴あけに要求される穴径も一層の微細化が求められることとなっているが、実際にはレーザー波長の関係から、40μmよりも微細な穴径を作ることは難しかったという。

そこで今回、内閣府戦略的創造イノベーションプログラム(SIP)においてレーザー加工プロセスのサイバーフィジカルシステム(CPS)化による知的生産技術研究を推進する東大、ABFを製造・販売する味の素ファインテクノ、レーザー加工機を開発する三菱電機、新たな深紫外短パルスレーザーを製造・販売するスペクトロニクスの4者が、TACMIコンソーシアムにそれぞれの強みとなる技術を持ち寄り、次世代の半導体製造工程に資する技術開発・評価に取り組むことにしたという。